魅了されたひと時　−東山魁夷回顧展―

 　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　還慶会　黒田　均

　美術・絵画に関して特段の知識を有しているわけではないが、話題になっている美術・絵画展には足を運ぶようにしている。今年は、7月には「生誕１５０年　横山大観展」、１０月には「生誕１１０年　東山魁夷展」を鑑賞する機会に恵まれた。日本を代表する二人の画家の、その制作活動の初期から晩年までの代表作に出会うことができ、見ごたえのある回顧展であった。

特に、東山魁夷回顧展では、「あお」を基調として繊細な筆使いにより抒情を湛えた風景の美しさを描いた数々の作品を目の当たりにし、胸の高鳴りを感じずにはいられなかった。また　特別出品の「唐招提寺御影堂障壁画」は、魁夷がその制作に１０年の歳月を費やしたといわれる作品で、その構想力、スケールの大きさは圧巻であった。今回の再現展示は、現在　唐招提寺御影堂が改修中であることから実現したとのことであるが、改修が終わる2年後には唐招提寺を訪れ、もう一度鑑賞したい思いにかられた。

魁夷の数々の代表作に魅了されたひと時を過ごし、何か言い表せない満足感に浸りながら、平安神宮近辺を散策して家路についた。