世のサラリーマンが節目である60歳の定年を迎えた後にはいくつかの生き方がある。僅かな年金に甘んぜず更に意欲的に働き続ける人、開放された喜びで悠々自適な道を選ぶ人…私の場合は窮々自（涙）滴、社会や地域へ恩返しすべくボランティアに尽くす人などである。

　しかし、我らＳ４７年入社の同期生には特異な道を選んだ者がいる。彼はもともと（ＩＭ−Ｈ）で硬派？のタイヤ部門技術者であったが、もう少し勉強したいと、定年後に母校の金沢大学へ戻った。そして、環境問題を主とする熱科学研究室に入門、約３年間切磋琢磨して励んだ。まあ、これだけなら単に向学心に溢れた熟年（オッサン）でエライねえ〜と感心するだけに終わる。しかし、なんと彼は「工学博士」の学位まで取得してしまったのである。その研究テーマは「凝縮を併用した光触媒による空気清浄化に関する研究」。これが何なのか凡才の私には難しくて解らない。ただ、学位研究論文の一部が冷凍空調学会の学術賞に内定したことでも彼の価値ある成果が証明されるであろう。尚、ここに至るに東洋ゴムで経験した仕事が役に立ったと殊勝な感謝の念を抱いている。

　シャイな本人に成り代わって、この晴れがましい出来事を皆さんに広く知って欲しいと投稿した。彼の名前は井上　照雄さんである。

　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　


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